会社に在籍中は経理課長だとか、営業部長だとかの肩書で多くの企業と取引きしていても、一旦退職するともう二度と同じようなポジションで仕事をすることは出来ません。

まして収入となると半分とかそれ以下になります。

公務員や大企業に勤めていたなら手厚い退職金や年金で食ってゆくには困らないでしょうが、かといってぶらぶらしていて幸せでしょうか。

望む仕事に就ければラッキーで、実際には再就職自体が困難です。受け皿であったタクシーの運転手ですら過剰気味で出来高制のため手取り10万円にもならない場合もあります。

夜間工事現場の警備員の仕事が最もポピュラーなものになります。それでも日給7000円とか、とても安いのです。

食ってゆくためとは言え、何か職に就こうとすると自分が何十年やってきた仕事のスキルがこれ程に通用しないのかと思うと情けなくなります。

自営業の場合は定年退職という制度がないのでずっと続けることはできます。

しかし、70歳過ぎて得意先との企画打合せや、現場でSEとして活動は、自分はいいと思っても得意先から嫌がられます。特に上から目線で接すると(意識しなくてもそうなりがち)もういけません。「老害」扱いされます。

「老熟」「重鎮」という言葉がありますが、死ぬまで現役でやってゆけるのは

  • 大学や民間機関の研究者、先生
  • アーティスト、音楽家、作家
  • 手工芸、特に伝統工芸の職人
  • ○○士と呼ばれる専門職
  • 家元制度、習い事の師匠

こういう職種感になりますが、いずれも縮小する市場に参入者ばかり多く既得権益的に押さえている人以外は食ってゆくことは出来ないでしょう。
苦労して税理士や司法書士、中小企業診断士の資格を取っても○○コンサルタントと看板出してもどこにも仕事は転がっていません。古い人ががっちり押さえていてつけ入るスキはわずかです。

その上、多くの専門職種はコンピュータ、インターネット、人工知能、スマホアプリに取って代わられつつあります。
例えば、レシート、支払いや銀行振り込みを勝手に自動的に読み取り仕分けして申告書類まで作ってくれ、電子申告してくれる時代に突入していますがそうなると税理士は要らなくなります。

司法書士、行政書士に会社設立手続きを依頼すると20万円と相場は決まっていましたがネットで調べるとやり方はおろか書類やひな形まで出てくるので、自分で簡単にできてしまいます。「7万円で引き受けます」なんてのも出てくるから、もうなかなか「20万円」と言っておれなくなります。